目からウロコの本で、本当に面白く読んだ。人口構成が日本の内需に及ぼしている影響や、地域格差の問題(?)も納得いった。日本のように先鋭的な高齢化をしている国はなく、ドイツとか北欧がそうなっていない、、、という批判も必ずしも当たっていないと思う。数字は絶対数が大事、とか分子と分母を両方みる、演繹ではなく帰納を、必要条件と充分条件を混同しない、、という考え方の原則論も納得、理解、同意である。
via georgebest1969.typepad.jp
よく、アメリカの新聞は科学記事が優れていて、日本の新聞とは比べ物にならない、と僕は言うが、それはあくまでクオリティー・ペーパーの話。タブロイドはもちろん非常にレベルが低いし、雑誌も「タイム」のような有名なものですら科学記事は扇情的で「はあ?」というものも多い。
こちらは有名なJonsen先生の本。白浜先生もお訳しになっている。机の上にほったらかされていたけど、ようやく読めた。うーん。この語り口が、アメリカ。どうしてこんなに断定口調で言えるんだろう。全体的には規範的な倫理で、そうなっているから、そうなっている、というトートロジーが多い。正義に対する過度な信頼もアメリカ調だ。そのわりに、「どのような保険プランによって採用される制度も、公正な分配の原則を反映すべきであり、サービスに対する正当な権利を持つ人はすべて差別なくサービスを受けられるよう保証されるべきである(中略)公正な医療についての、、、、」(211p)ある特定の保険プランの中での「公正な医療」ってそれ自身矛盾してませんか?
極めて興味深かったのが第3章、特に「基礎理論」のところ。倫理学の理論的枠組と、サンデルチックな正義にまつわる議論、そこからようやく4分割法と(なつかしい!)なって、そして4分割法の限界点と克服についても詳説している。日本では白浜先生の功績が大きい反面、4分割することそのものが自己目的化している(そのことは白浜先生ご自身も望んだことではないのだろうが)部分もあるが、煮え切らない倫理学のパースペクティブをみるのにとてもよかった。対談も面白かった。一方、2章のケース・スタディーはちょっと定型的だなあという不満も残る。やはり論じるには包括的でも各論的な具体例になると??になることがあるのが倫理の難しいところだ。とくに、医療裁判にありがちな後付けの理論が多いのが気になる(本書で言うトップダウンの視点)。医療者はその当該患者「だけ」を診ているのではなく、あれやこれやのことをやりながらの診療の一面なのだが、裁判所は、「○○の症状は××に矛盾しないのだから、これを見逃すべきではなかった」みたい、さもカプセルの中に医療者と患者だけがあるファンタジーの世界を想定し、後付けで批判する。それに似た倫理的分析もなくはなかった。あと、執筆者によってテキストのクオリティーには若干の差を感じた(仕方ないけど)。
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/0a95ab053bdc0d99a91c07ce7e8071a5?fm=rss ありがとうございます。おかげさまで本日4刷が決定しました。 やはり岩田的には、倍速ではなく「3倍速」とうそでもアピールしてみたいです。でも「ザクとは違うのだよ」とも言ってみたい(わけわかんないですが)。
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ありがとうございます。おかげさまで本日4刷が決定しました。
やはり岩田的には、倍速ではなく「3倍速」とうそでもアピールしてみたいです。でも「ザクとは違うのだよ」とも言ってみたい(わけわかんないですが)。
主に60年代までに吉本隆明が書いた文章のコンピレーション。これに中沢新一の解説がつく。こちらは彼の「三位一体」論が主だ。
僕は言葉狩り、揚げ足取りといった狭量な根性が大嫌いだが、にもかかわらず(いや、それゆえに、か)、本当の意味で差別的な発言を強く憎悪する。
沖縄県立中部病院雑誌という超マイナーな(すんません)雑誌があって、そこに頼まれて書いた「自分の本の書評(というか宣伝)」。たぶん、誰も読まないと思うから、ここに再掲する。隣の頁には、集中治療業界の大立者、田中竜馬大先生が自著のワシマニュを推している。この本は実に良くできていると思うが、書評は僕の方がうまかった(と思う)。
春めいてきた。大学はたくさんの報告にまみれる時期である。今年度も巻きに入ってきたのでおもな仕事を並べる。来年度はもっとスタティックに生きるのだ(たぶん)。
名は体を表すごとく、題名そのまんまの本です。Medical ASAHIに連載された内容を本にまとめました。僕も意外だったんですけど(あれ?)とても好評な連載で、多くの開業医の先生から感想をいただきました。感謝しています。個人的にはニューキノロンの絞り込みの理路がわれながらよくできちゃった感じで気に入っています。ぐちゃぐちゃやっているとするっとああいうものができたりするのは楽しいことです。みなさん、読んでやってくださいね。